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2013年4月27日 (土)

日本の国益を守るためにはTPP交渉参加を撤回するしかない-「日米事前協議」の結果は日本側全面屈服以外の何物でもなかった-

4月26日の「TPP 日米事前協議の米国追随的合意を告発し、参加撤回を求める記者会見」で発表した2つの文書です。
なお記者会見の模様はIWJさんが中継し、録画されたものがあります。
http://www.ustream.tv/recorded/31963375
岩上安身氏によるツイートまとめ→こちら
「屈辱的な合意内容を、政府は隠蔽しようとしている」 TPP参加の撤回を求める大学教員の会が、国会議員に質問要請 →こちら

日本の国益を守るためにはTPP交渉参加を撤回するしかない
「日米事前協議」の結果は日本側全面屈服以外の何物でもなかった
         TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会

 4月12日に日本のTPP交渉参加承諾を得るための米国との事前協議が終了し、その結果が両国政府によって発表されました。
それは、日本政府発表の
(1)日米協議の合意の概要、
(2)佐々江駐米日本大使と米国通商代表(USTR)マランティス代行との相互書簡(内容は同一)、
(3)設置が決まった日米2国間自動車貿易並行交渉への付託事項(TOR)、
米国USTR発表の
(4)マランティス代表代行の声明、
(5)事前協議合意内容概要報告、
(6)日米2国間非関税措置問題並行交渉での対象事項説明書、からなります。

 これら全体を通じて明らかとなった重大問題は、第一にここまでの事前協議は日本側が一方的に譲歩しただけで米国側からは一切の譲歩を得ていないこと、第二に今後TPP交渉そのもので極めて不利な交渉を余儀なくされるだけでなく、米国のさらなる要求を受け入れるための日米2国間並行交渉の設置が義務づけられたこと、第三にこうした全面屈服内容とそれを受け入れた屈辱的外交の真実を日本政府が隠蔽しようとしていることです。

 第一の点について、
①まずTPP各国首脳決定である「TPPの輪郭」(2011年11月)、すなわち「関税その他の障壁を撤廃する」ことの達成と、その際に全ての品目を交渉対象にすることが(日本側文書はこの部分を載せていない)、あらためて確認されました。

②文書(2)において、日本の一定の農産品、米国の一定の工業製品というセンシティビティ(重要品目)が存在すると書かれていますが、これは2月22日日米共同声明から一歩たりとも前進していない単なる事実の描写に過ぎず、日本の最重要農産物等が関税撤廃の例外になりうる何らの手がかりすら獲得していません。しかもアメリカ側はこの相互書簡自体を発表していませんし、文書(4)~(6)のどこにもこのような叙述は皆無なのです。

③他方、日本側は一方的譲歩のデパートです。即決事項だけでも、
(ア)米国製輸入自動車の簡易認証枠(車種別台数)を2.5倍に拡大する、
(イ)米国側自動車輸入関税撤廃は最短でも乗用車5年・貨物自動車10年を超える、そしてTPP協定の全品目中最長期間をつうじた漸次的撤廃とする(しかも米国側の判断で取り消しになりうる)、
(ウ)日本郵政のかんぽ生命によるがん保険・医療保険の新商品・改良商品投入を、最低でも数年間、そして日本郵政が「正しく機能する事業運営システム」になるまで認めないことを(実はゆうちょ銀行による住宅ローン商品も同様)、丸呑みしました。

 第二の点について、TPP交渉本体で日本は正式参加(どんなに早くても7月)までに決まったことは事前に内容も見せられないまま丸呑みし、その後も既存11ヵ国が決めた交渉分野への追加や削除、交渉期間の延長などを一切主張できないという差別待遇を受けます。
 さらにTPP交渉と同時進行の日米2国間並行交渉を、自動車と非関税措置の2つの領域で行なうことが義務づけられました。ここでは文書(6)によって後者だけを指摘しますが、
【A】かんぽ生命、
【B】各省庁審議会等の委員に米国企業を加えることをはじめとする「透明性」、
【C】投資分野で日本企業に対するM&Aをもっと容易にするための措置、
【D】著作権等の長期化を含む知的財産権保護強化、
【E】基準設定や規制運用の大幅な柔軟化と「透明性」および国際基準の大幅な受け入れ(環境、労働、食品などが当然含まれうる)、
【F】政府調達、
【G】競争促進政策、
【H】日本郵便による国際急送便の民間企業並み扱い、
【I】衛生植物検疫措置(SPS)について国際的に使用されている食品添加物のリスク評価の加速・簡便化や農薬規制等への対処、というように9分野に関する個別具体的論点が名指しされており、
おまけに
【J】両国政府が合意すれば協議事項がいくらでも追加されうるのです。要するに、これまでの「事前協議」では米国側がまだまだ満足していない諸問題をいっそう譲歩する場に日本が引きずり込まれたこと、そこでの内容はこれまで米国側が「外国貿易障壁報告書」「日米規制改革・競争政策イニシアティブ要望書」「日米経済調和対話」等で連年にわたって迫ってきた極めて広範囲にわたる、米国系多国籍企業・金融機関等の利害を貫徹するための要求を、いわば「在庫一掃」するものだということです。
TPP参加推進論者は「TPP交渉は2国間交渉と異なる多国間交渉だから、従来の米国側要求が押しつけられることを心配しなくてよい」として私達のかねてからの警鐘に「反論」してきましたが、そのような言説の論拠はあとかたもなく消し去られたのです。

 そして第三に、このような全面屈服以外の何物でもない「事前協議合意」内容のうち、日本政府は都合の良い部分だけをつまみ食いして「公表」し、国益を売り飛ばした屈辱的真実にかかわる部分を極力隠蔽しようとしていることです。例を挙げれば、
上記③(ア)の輸入自動車簡易認証枠拡大や2国間非関税措置交渉の個別具体的論点は全く触れていませんし、
③(イ)のかんぽ生命の事業制限はTPPと無関係で日にちが重なっただけの国内措置とシラを切り、おまけにゆうちょ銀行も同様に事業制限されることは記者の質問があったから答えただけなのです(麻生財務大臣2013年4月12日記者会見)。

 以上の事実関係に率直に眼を向ければ、安倍総裁・首相が(民主党とちがって)自らの政権は国益を確保するだけの「交渉力」「突破力」があると主張していたのは全くの虚言であり、その実は「丸呑み力」「全面屈服力」でしかなかったわけです。
 したがって私達は、今後の日米2国間交渉でもTPP交渉本体でも、国益・国民益が守られることなど決して期待できないことが明らかになった以上、もはや交渉参加の撤回しかあり得ないことを訴えるものです。
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国会議員への質問要請項目~TPP日米事前協議等をめぐって~
        TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会

1.「事前協議」と呼ばれる交渉の全体像について
米国USTRが発表した資料(2013年4月12日)によれば、「日米でのTPP二国間協議は、2011年11月の日本の協議参加表明を受けて、2012年2月に始まった」とされている。
しかし日本政府は国内向けには、2011年11月時点では、野田首相(当時)が「国民的議論を経て交渉参加を判断する」と述べている。またその後、日本政府は一貫して「米国との事前協議は行っていない」との見解を示してきた。これは米国側の認識と大きく異なっている。

この不一致は、現在の事前協議内容やその発表内容を議論するにあたり大変重要な問題である。以下の点を質していただきたい。
①USTRは、日米でのTPP二国間協議は2012年2月に始まったとしているが、本当はいつから始まったのか。
②米国の言うとおり2012年2月に始まったのだとすれば、その時点から4月12日までの国内向けの「事前協議をしていない」という説明は嘘だったということか。
③またこれまでの二国間協議のテーマは何で、どのような頻度で行なわれてきたのか。
④米国の言うとおり2012年2月に始まったのだとしても、その結果は、2013年4月12日までの間、何の発表もされていない。この際、事前協議の結果を遡って公表してもらいたい。
⑤野田首相(当時)が「国民的議論を経て参加を決定する」といったんはいっておきながら、その責務を果たさないどころか、国内的には「参加表明していない」状態を保ちつつ米国との事前協議を進行させていたのだとしたら、国民に対する大きな裏切りだと考えるが、それについての政府の見解はどうか。

2.公開文書の不一致について
 日本政府は、2013年3月15日以降の事前協議内容について、日米両国で確認した「合意文書」は、以下の2つとしている。
 1.「日米間の協議結果の確認に関する往復書簡(仮訳)」(平成25年4月12日)(佐々江駐米大使とマランティスUSTR代表代行の書簡)
 2.「自動車貿易TOR(仮訳)」(平成25年4月12日)
 この合意文書を受けて、日本政府は「概要」を、米国USTRはリリースを出したとされている。しかしこの「概要」と「リリース」内容には大きな隔たりがある。以下にその食い違いについて質していただきたい。

①同じ文書に基づいたとされる両国の発表内容が、なぜこのように食い違うのかについて日本政府としての見解は?

②日米両国で、リリース発表前に互いの発表内容を確認したのかどうか。

③発表後、日本政府は、両国の発表文書の相違いについて、「USTRの発表内容には関知しない」と述べている。しかしTPPのような貿易交渉において、日本側が発表した合意内容と食い違う内容が米国から発表された場合、少なくとも日本政府としては米国に事実関係を確認し、相違点を明らかにし、国民に説明した内容と異なるのであればそうなった理由を説明する義務がある。この点について政府はどう考えているか。
 そもそも、協議の相手国が自国と異なる内容を発表したことについて「関知しない」というのでは「合意」とはいえないと考えるが、どうか。

 ④自動車の分野に関し、日本の「概要」おようび「米国リリース文書」では、自動車貿易に関する交渉について、TPPと並行して行うこととし、その協議対象事項が記載されている。また米国が輸入車にかける関税の撤廃時期を最大限遅らせること、およびこれは韓米FTAにおける米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回ることが確認されたとある。
 しかし米国文書には、さらに、「輸入自動車特別取扱制度(PHP)の適用台数を2倍以上に引き上げる」こと、「PHPの下で1モデルあたり年間5000台までの輸出が許可される」ことが「日本側から表明された」と記載されている。自動車分野に関して、日米事前協議の実際の合意内容はどのようなものなのか。

 ⑤保険の分野に関し、米国リリースには、「両政府は公平な競争条件の問題に取り組むことで合意した」 と明記されている。また「日本がかんぽ生命の新規商品の承認を当面凍結したと日本が一方的に発表した」と記されている。しかし、日本政府の「概要」にも、「書簡」にもそのような記述はない。保険の分野に関して、日米事前協議の実際の合意内容はどのようなものなのか。 

3.非関税措置に関して
 日本政府の「概要」では、日米協議にて議論した非関税障壁は5項目(保険、透明性/貿易円滑化、投資、規格・基準、衛生植物検疫措置等)とされている。しかし「合意文書」および米国発表では、9項目(上記5項目プラス急送便、知的財産権、政府調達、競争政策)が列記されている。また米国リリースでは、各項目についての内容説明がなされているが、日本政府「概要」にはそれがない。これについて以下の点を質していただきたい。

 ①なぜ日本政府は合意文書とおりの項目を発表しなかったのか。
 ②日米事前協議での正確な協議項目数、各項目名、および各項目に関する協議内容を明らかにしてほしい。
 ③非関税措置について、米国文書では「今後も両国の合意により、追加があり得る」とされている。これについて日本政府は同意したのか、また、この文言が追加された経緯・趣旨について日本政府としての説明を求めたい。

4.日本に課せられた不利な交渉プロセスについて
 米国リリース、日本政府「概要」ともに、「TPP交渉と並行して、二国間の協議を進める」と記されている。このことは、TPP交渉が進行している間も、米国は日本の非関税措置についていつでも交渉できるということを意味する。言い換えれば、本来ならTPP交渉全体で合意をつくるべき事項も、全体でうまく合意が得られなければ日米二国間での協議によって獲得できる権利を米国が持つことになる。これについて、以下の点を質していただきたい。

 ①3月末に出された米国の「非関税障壁報告書」に挙げられている、米国にとっての「日本の非関税障壁」が、今後TPP交渉と並行して行われる非関税障壁交渉として挙げられる可能性を政府はどのように認識しているか。また、日米二国間協議で非関税措置について追加的に議論されることになったことを政府はどのような形で国民に発表する予定か。

 ②合意文書では、TPP交渉と並行して日米間で取り組む非関税措置は、日本が交渉に参加した時点で始まり、TPP交渉の妥結までに決着させるとされている。非関税措置がカヴァーする領域は極めて広く、かつ合意文書で挙げられた9項目以外にも追加ができることになれば、その領域はかなり広がる。このことについて、私たちは、TPP交渉との関連の中で数々の非関税措置が米国から「障壁」とされ、撤廃を求められることを懸念しているが、こうした懸念を政府はどのように受け止めているのか。

 ③そもそも、遅れて交渉に参加した国は、これまでの交渉テキストも事前に見せられず、また文言の修正もできない不利な条件を課されることになっている。安倍首相も記者会見でそのことを認識していると発言した。今後1回ないしは2回の交渉で、政府が守るという「聖域」(農産品5品目)は本当に守られるのか。もしできなかった場合、交渉から撤退するのか。また、交渉に守秘義務がある制約の中で、交渉途中であれこれ交渉内容を持ち出して撤退することが可能と心得ているのか。この点について安倍首相のいう「責任をとる」の具体的な中身は何か。

 ④今後、仮に日本が参加国となった場合、交渉の進展に応じて、どのような情報を国民に対して公開していくのか。また事前に国内のステークホルダーに対し、説明や意見聴取などをどのように行なう計画があるのか。

5.米国以外との事前交渉内容の情報開示に関して
TPP交渉は、多国間の貿易交渉であり、3月15日の日本の参加表明以降、日本政府は11ヶ国とそれぞれ個別に参加に関して事前協議を進めてきた。
 しかし米国以外の国との事前協議の内容については発表されておらず、ただ「承認された」と報じられているだけである。そこで、以下の点を質していただきたい。

 ①TPPは多国間貿易交渉であるにもかかわらず、なぜ米国との事前協議内容しか国民に発表せず、他国との事前協議内容は発表しないのか。

 ②米国以外の10ヵ国との交渉内容を明らかにされたい。これは多国間交渉に参加する前提として、国民にとって知らされるべき重要な問題である。

 ③オーストラリア、ニュージーランド、カナダの3か国は、米国同様、「すべて関税はゼロにする」と発表し、日本にとっては懸念が数多くある。これら3か国との関税問題をめぐる交渉内容について、具体的に説明されたい。

 ④カナダとは自動車の関税をめぐる問題で最後まで交渉が難航したといわれている。カナダ政府と、自動車関税問題をめぐってどのような合意がなされたのか。
                   以上
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/tpp_situmon_yosei_komoku.pdf

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