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2013年4月22日 (月)

反TPPで870余名の大学教員が結集: 醍醐聰のブログ

反TPPで870余名の大学教員が結集: 醍醐聰のブログ 
(以下は、日本ジャーナリスト会議の機関紙『ジャーナリスト』第661号、2013年4月25日に寄稿した小論を、同紙編集部の許可を得て転載するものである。なお、転載にあたって、一部の表現を改めた。)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/tpp870-91a5.html

 3月15日に安倍首相がTPP交渉への参加を表明し、日米の事前協議が進行する中、「遅すぎた」と言われながらも、大学教員17名が呼びかけ人となって、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」を発足させ、安倍首相宛てにTPP交渉からの即時脱退、事前協議の即時中止を求める要望書を提出することになった。3月28日から、全国の大学教員にこの要望書への賛同を求める呼びかけを始めた。私は100名超の賛同署名を添えて申し入れようと友人に声をかけたのだが、いざ始めると、3日目で200名を超えた。これを見て、呼びかけ人の中から、「こうなったら1,000名を目標にしよう」という声があがり、俄然、熱気を帯びて来た。

広範な専攻分野から鋭いメッセージ
 結局、4月9日には、その前日の24時までに集まった822名(呼びかけ人を含めると839名)の賛同者名簿を添えて、安倍首相宛てに要望書を提出した。そして、翌10日に開いた記者会見では、860名の署名簿と400名の賛同者から寄せられたメッセージ全文をプリントして報道関係者に配った。
 私が驚いたのは、短期間に文系・理系の枠を超えて反響が広がったことだけではなかった。それ以上に、400名の賛同者が署名に添えたメッセージの中身の先鋭さに驚かされ、TPPへの並々ならぬ危機感が綴られた文面の数々に触れて深い感銘を覚えた。

 「TPPは米国流新自由主義の終着点の一つで、日本社会の全体を市場原理に明け渡すものです。
  内容がブラックボックスのまま後戻りもできない交渉に絶対に参加してはいけません。」

「僅か世界の1 %の人々が握る企業が、残りの99%の人々のみならず国家をも支配できるシステムです。抜けることもできない、しかも、審議内容は参加国の国会議員ですら知ることができない仕組みなのに、なぜ賛成?」

「TPP参加は瀕死の日本農業の息をとめるものであり、自国民の食料を確保するという国として当然の責務を放棄するものです。」

警鐘の声伝えぬメディアに疑問と怒り

 政府の方針を真っ向から批判するこうしたメッセージが、公開を承知の上で、これほど多数寄せられるとは私の予想をはるかに超えるものだった。4月10日の記者会見には8つの全国紙・通信社とテレビ局1社が出席したが(業界紙等を含めると39組織、49名)、翌日、会見の模様を報道したのは私が知る限り、「日本農業新聞」と「しんぶん赤旗」だけだった。大手マスコミのこうしたTPP反対論の黙殺には多くの賛同者から疑問と怒りの声が寄せられた。「日本農業新聞」は、最近の大手メディアは「消費税、原発、TPPなど国論を二分する問題になると、物事を単純化し、対立をあおり、最後は訳知りの予定調和で流してしまう『国民思考停止装置』と化している」(2013年4月3日、「四季」欄)と酷評したが、少しも言い過ぎではない。

 その「日本農業新聞」は4月12日付の紙面に呼びかけ人17名、賛同者861名(4月11日現在)全員の名簿を両開きのスペースを割いて掲載した。次の日には某県のJA中央会から、マスコミが伝えないなら自分たちの手で広告として全賛同者の名簿を載せたいが、かまわないかという問い合わせが来た。
 大手マスコミ関係者(経営者だけではなく、そこに身を置く編集者・記者たちも!)は、自らを<国民を思考停止に追いやる装置>と断罪されて恥ずかしくないのか。本誌の読者各位も自分は別だと傍観せず、遠近の差はあれ、自らもこうした酷評の矢面に立つべき当事者として、ジャーナリストの初志を自問してほしい。事が終わってからのお手軽な「検証」物では免罪符にもならない。

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